韓国映画『成功したオタク』にみる日韓のアイドル受容の違いとは?【梁木みのり】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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韓国映画『成功したオタク』にみる日韓のアイドル受容の違いとは?【梁木みのり】

 

 韓国のオタクたちは真逆のようだ。理想のオッパに憧れて好きになり、熱烈に追いかける。そして成人するとオタクをやめるのが一般的らしい。一方の旧ジャニーズオタクの界隈では「年下を自担にしてからが本番」などということさえ決まり文句になっている。

 セヨンさんたちが、中学生の頃からサイン会などのリアルイベントにも頻繁に足を運んでいたことも印象的だ。今は日本でもK-POPアイドルがブームになり、中学生でもリアルイベントに行くことは珍しくないかもしれないが、セヨンさんがオタクをしていた頃の日本の旧ジャニーズオタクたちは、中学生ではそうそう自担の近くには行けなかった。まずサイン会などはなく、グループによってハイタッチ会があるかどうか。ライブには、親に頼み込んで年1回行ければいいほうだ。中学生がたくさんライブに行っていると、「親金」とささやかれる。

 ライブに行けないオタクたちは、テレビ越しにアイドルを見続ける。アイドルが画面上の小さいキャラクターとして認識されたままになるのだ。一方、早くからサイン会でオッパを目の前にしてきたセヨンさんたちは、文字通り等身大の成人男性であるオッパを愛することになる。同じ「アイドル」「推し」と言っても、その認識が全く異なることがわかる。

 そして、性犯罪に対する反応も全く違う。セヨンさんたちは、何年間も熱烈に追い続けたオッパのことを、犯罪者になった途端に「死んでしまえ」「好きなわけないでしょ」「二度と姿を現さないで」と呆れたように笑いながら言う。性犯罪は絶対悪だと。それはそうだ。それはそうなのだが。

 旧ジャニーズで解雇沙汰にまでなった性犯罪といえば、元TOKIO山口達也の未成年強制わいせつ事件だ。もちろん当時のファンが今も山口担を続けているとは考えにくい。しかし、TOKIOの冠番組「ザ!鉄腕!DASH!!」では、脱退後も山口を含む集合写真や山口との思い出を示唆するようなメンバーの発言が放送されている。そのたびに視聴者からは感動をもって受け入れられていたが、これがもし韓国ならばボイコットものだろう。

 解雇には至っていないが、Hey!Say!JUMPの中島裕翔が、泥酔して痴漢行為をしたという報道もあった。中島は不問に付され、何事もなかったかのように活動を続けているが、こちらも韓国のアイドルだったなら厳しい追及があっただろう。韓国と比べて、日本は性犯罪に寛容だと言わざるを得ない。

次のページ旧ジャニーズの女性を対象とした性犯罪で思いつくのはその二件くらい

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梁木みのり

はりき みのり

ジェイ・キャスト所属ライター

ライター

Z世代。ジャニヲタ歴12年。K-POPオタク歴まだ2年。ジェイ・キャスト所属ライター。早稲田大学卒。

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